jk-meets-js

恋に落ちるコード.js [技術系コメディ/短編/連載中]

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Code Snippets, あるいは4コマ的な日常.1

登場人物
|篠宮樹里《しのみやじゅり》 情報処理部副部長。JavaScriptその他諸々について絵子の良き先生。先にしゃべる方。
|瀬尾絵子《せのおえこ》 情報処理部部長(押し付けられた)。主にツッコミ担当。後にしゃべる方。

// JavaScript、誕生

「JavaScriptとは、当時人気があったプログラミング言語である『Java』にあやかって名付けられたものである」
「ほんと、何でこんな名前つけちゃったかねー」

「昔から、何かにあやかって名前をつける、というのはよくあることだ」
「例えば何かあったっけ」

「味の素スタジアム、とかな」
「それはネーミングライツって言うんじゃないの?」

「スナック来夢来人、とかな」
「それってあやかってんのかなー。確かにどこの田舎にもあるけど」

// JavaScriptの歴史

「元々は、Netscape NavigatorというWebブラウザのインタラクティブな拡張として開発されたものだ」
「あったねー、ネットスケープ。結構使いやすくて好きだったな」

「その後、Internet Explorerに実装されたことにより、JavaScriptはその認知度を高めていく」
「敵の手によってその名を轟かせる。因果な話よね」

「だが、ウィルスやワームが広まる戦犯としてやり玉に挙げられ、しばらく不遇の時代を歩む」
「そうそう、デフォルトでオフにするのを推奨されて。悲しい時代だったわ」

「一応確認するが、私たち女子高生だよな」
「え、当たり前じゃん。何言ってんの」

// JavaScriptの憂鬱

「そんなこんなで、JavaScriptとJavaは混同され続けている」
「未だに間違えてる人いるよねー。JavaがJavaScriptの略称だと思ってたりとか」

「両者はまったく別物である、ということを、うまい例えで啓蒙しよう」
「啓蒙してみよう」

「ぶどうと海ぶどう、くらい違うな」
「クラゲとキクラゲ、くらい違うよね」

「バーガーキングと羽賀研二、くらい違うな」
「何となく似てる言葉のコーナーになってない?」

// 我が名はECMAScript

「まあ、そんな歴史を深く悲しんだ神々は、ECMAScriptという正式な名前を与えたもうた」
「エクマ、ってなんか可愛いよね。あとそんな神話クラスの話ではないよね」

「じゃあ絵子、ECMAとは何の略か知っているか」
「え?えっとぉ……」

「……絵子ちゃん、キューティーミステリアスエンジェル、とか? …………」

「おーい、キューティーミステリアスエンジェル、帰るぞ」
「ごめん、樹里。謝るからそろそろ許して。もう四日目よ」

// 夏の終わり

「JavaScriptでは、一つの文はセミコロン(;)で区切る、というルールになっている」
「セミコロンで区切る、と」

「なくても自動で補完してくれたりするが、ちゃんと記述するのが望ましい」
「ねえ樹里。セミコロン、てさ。夏の終わりに道端に転がって死んでるセミを思い出すんだけど」

「……この形、頭と胴体が分かれて、別々にアリに運ばれているようにも見えるな」
「あー。見えるね」

「……淋しいな」
「……淋しいね」

// これはコメント行です。

「他のプログラミング言語と同じように、JavaScriptでもソースコード内にコメントを書くことができる」
「機械にバレないよう、人類にのみ向けられたメッセージね」

「1行で終わるコメントの場合は、行頭に『//』と書く」
「//って、何となく恥ずかしがってるイメージあるよね。『あ、あなたが読みやすいように書いたんじゃないんだからね』みたいな」

「複数行にわたるコメントの場合は、『/*』と『*/』で囲む」
「こっちも恥ずかしがってる感じするよね。顔押さえてアチャー、みたいな。『お見せするほどの物じゃないんですけど』的な」

「うるさいのでコメントアウトしておいた」
「/*            */」