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恋に落ちるコード.js [技術系コメディ/短編/連載中]

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Code Snippets, あるいは4コマ的な日常.2

登場人物
|篠宮樹里《しのみやじゅり》 情報処理部副部長。JavaScriptその他諸々について絵子の良き先生。先にしゃべる方。
|瀬尾絵子《せのおえこ》 情報処理部部長(押し付けられた)。主にツッコミ担当。後にしゃべる方。

// 非実力派宣言

「JavaScriptで変数を宣言する時は、『var x = 1』のように、varキーワードを用いて宣言する」
「varって、『バァー!』っておどけて登場する感じがなんか可愛くない? 『宣言しちゃいました? ならば、いざここに参上!』みたいな」

「ちなみにvarとはvariableの略だ。『可変的な』という意味で、発音は『ヴェーリボゥ』が近い」
「あ、そう……ごめん。集中する」

「一方、定数を宣言する時は、『const x = 1』のように、constキーワードを用いて宣言する」
「constって、『絶対変えないぞ!』って決意を感じられるよね。『コンストォー!』って。なんか九州男児っぽいよね」

「ちなみにconstとはconstantの略だ。『不変の』という意味で、発音は『コンステント』が近い」
「あ、うん……ごめん。集中する」

// カリブラ

「if文やfor文などで、ひとかたまりのブロックを表す時は波括弧で囲む」
「ああ、|{ } 《こういうやつ》だよね。オブジェクトの宣言にも使われるやつ」

「なお、この波括弧、正式名称をカーリーブラケットという」
「カーリーブラケット! 名前カッコいい! カッコだけに!」

「ちなみに|( )《丸括弧》はパーレン、|[ ]《角括弧》はブラケットというらしいぞ」
「ところでさ、波括弧のこと、昔は中括弧って呼んでなかったっけ?」

「中括弧と呼ぶのが昭和生まれ、波括弧と呼ぶのが平成生まれらしいぞ」
「中括弧? なにそれ? 初めて聞いた」

// エスケープ!

「JavaScriptで特殊な文字を表現する時には、エスケープシーケンスを用いる」
「エスケープシーケンス、ってなんか恰好いい響きよね。法の網をかいくぐってる感じする」

「例えば、改行文字は¥n、タブ文字は¥t、といった具合だ」
「ところで、なんで円マークなの? やっぱり金のニオイがするから?」

「いや、本来はバックスラッシュという記号なのだ。円記号で表示されるのは日本ならではの複雑な事情による」
「日米の文化摩擦による悲しいすれ違いか。いや知らないけど」

「ちなみにこの手の文字を投稿する時、筆者はブラウザがバグを起こさないかヒヤヒヤしているらしい」
「読者おいてけぼりのあるあるだねー。SEとかプログラマにしかわからないぞ」

// Mr. What’s-your-name!

「変数とか関数の名前は、一目で役割を想像でき、可読性の高いものが望まれる」
「いつも悩むのよねー。何十分も和英辞典を調べたりして」

「ただ、いくら日本人同士でわかりやすいからといって、keisanみたいにローマ字で書くのもどうかと思うな」
「わかるー。見ててイーってなるわー、これ」

「いずれにしろ、名前をつけるという行為は愛とセンスが必要なのだ」
「プログラムでこれなんだから、きっと子供ができた時ってすっごい悩むんだろうねー」

「ん。樹里2とかnew絵子でいいんじゃないか」
「それこそ真面目に考えようよ……」

// 恋に落ちる蛇

「ちなみにこの命名規則。特に複合語を用いる際は、大きく分けて二つのルールが好まれている」
「お、出た。きのこたけのこ論争みたいなニオイがするぞ」

「ひとつは、単語をスペースの代わりにアンダーバーでつなぐ書き方。『send_love_message』という感じだな」
「JavaScriptだとあんまり見ないなー。PHPとかだとよく見るね」

「この書き方は『スネークケース』と呼ばれている。蛇のように見えるから、かな」
「蛇っぽいというか、粘液をズルズルと引きずってる感じしない?」

「よし、今日からこの書き方を『粘液ズルズルケース』と命名しよう」
「おー」

// 恋に落ちる駱駝

「逆に、単語の先頭の文字を大文字にした上で、ひとつなぎにする書き方もある。『sendLoveMessage』という感じだ」
「うん、JavaScriptだとこういう書き方が多いよね」

「これは、ラクダのこぶみたいに見えるので『キャメルケース』と呼ばれている」
「フタコブラクダの、あの上下する感じね。確かにわかるっちゃあ、わかるけど」

「じゃあ、絵子は他にどんな呼び方がいいと思う」
「んー、二つの山、とか……ピンとくるのがないなあ。樹里は?」

「そりゃ、双丘といえば、なあ」
「え、樹里、その両手は何。ちょっと、やめ……ぁあんっ」