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Redmineで始める異世界人心掌握術 [異世界ファンタジー/長編/完結済]

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#42 文書機能を活用します

「で、なんか新しい機能が使えるようになったの?」

 朝食後。ジェミィが淹れてくれた紅茶を飲みながら、紅子が端末を広げていると、レヴィが覗き込んできた。髪も綺麗にセットされ、身支度も整えられている。面倒臭がりに見えて、こういうところはキッチリしてるな、と紅子は感心する。

「そう、元々Redmineって、チケットの管理以外にもいろいろ機能があるんだよね……共同で作業するための機能が。ただ、なぜだか今まで使えなくて、なぜだか急に使えるようになったんだけど」

 そう言いながら紅子は、新たに並んだタブの中から『文書』にアクセスする。ちなみに『ニュース』のタブは、とりあえず管理者権限で隠しておいたので問題ないだろう。

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『文書』は、その名の通り、様々な文書を登録する機能だ。プロジェクトに関係する文書、仕様書や会議資料等を登録するのに適している。その他の入力項目には、カテゴリとタイトル、それから説明文がある。後から検索がしやすいよう、適切な情報を書いておくのが望ましい。

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 ……でも、いろいろ使い勝手の悪いところはあるんだけどね……例えば、添付ファイルがなくても登録できちゃったりとか。そのくせ、添付ファイルの有無が一覧ではわからないとか。添付ファイル名で検索できないとか。でも、ちゃんとルールに基づいて文書を管理できる機能を、標準で持ってるのはありがたい。

 こういう仕様書とか会議資料といったファイルって、ファイルサーバーで管理するより、こうやって管理する方が良いんだろうね。プロジェクトの初期の頃はそれなりに綺麗に文書が格納されてるんだけど、後になるにつれどんどんカオスになって……でも、ファイルをちゃんと管理できない人達に限って、ファイルサーバー以外の管理方法に難色を示すのは何でだろう。やっぱり慣れ親しんだエクスプローラー以外の方法には抵抗あるのかな。エクセルしか使わないのも似たような理由か……

「うーん。何が便利なのかよくわかんない」

 レヴィがつまらなそうに頬を膨らませる。確かに、電子ファイルどころかPCすら触ったことがない人に、このメリットを伝えるのは難しい。

「えーと……みんなで使うものを、みんなが好き勝手な所に置いといたら、次に使う人が困るじゃない? だから、ちゃんとルールを決めて片付けて、どこに何があるかちゃんと目印つけて、みんながわかりやすいように管理しましょう、ってこと」

 と言いながら紅子は、自分の部屋の様子を思い出す。片付けるどころかベッドの周りに物が散らばってる状態なので、あまり大きなことは言えない。……いや、自分だけが使うものだから良いんだよ! 共同で使うものはちゃんと管理するよ! そもそも散らかってるんじゃなくて、どこに何があるかはだいたい把握してるし! ……誰に言い訳してるんだろ、私。

「ふーん……ま、ウチはジェミィが全部把握してくれてるから大丈夫だけどね」

 あー、いいなあ……私の職場か家に来てくれないかな。