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Redmineで始める異世界人心掌握術 [異世界ファンタジー/長編/完結済]

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#50 前夜

 さて。今まで、Redmineの良い面ばかりを見てきた。しかし当然ながら、Redmineにだって他のシステムや手段に比べて劣っている部分もあるし、使い方によってはデメリットも生まれる。そういった部分にもちゃんと向き合って、ユーザーにより便利に使ってもらう方法を真剣に考えなければならない。その姿勢がなければ、Redmineを導入することは難しいだろう。
 元の世界に戻った時のために、気付いた事をまとめておこうか。紅子はペンを走らせる。

 *

 まず、最初に思うこと。それは、『デフォルトのホーム画面はシンプルすぎる』んだよね。
 シンプルなのは悪い事じゃないのだけど、正直言うと、今のデフォルトの画面は、次に何をすればよいのかよくわからない。初心者には難しくて、それだけでユーザーを失う可能性すらあるよね。
 そこで、『ウェルカムメッセージ』の存在がかなり重要である、と思うんだ。どういう事が出来るのか、次に何をすればいいのかをホーム画面に書いておいてあげることは、管理者として非常に重要な仕事だと思う。

 また、トラッカーやステータスを自由に設定できるのは非常に魅力的なんだけど、細かく設定すればするほど、ワークフローも複雑になっていくんだよね。キッチリしたワークフローにこだわった結果、使いにくくなって結局長続きしなくなる気がする。現状の業務に合わせてワークフローを設定する前に、Redmineが持つデフォルトのワークフローに業務の方を合わせられないか、まずは検討してみるのも悪くないと思うんだよね。それによってムダが省けるかもしれないし。

 あとは……『ファイル』機能みたいに、使わない機能はなるべく隠しておいた方がいいよね、最初は。ユーザーがある程度慣れてきてから公開するようにした方が、余計な混乱を招かずに済むと思う。

 *

 ……なんて、自分なりに色々勉強してみたけど。
 |レイラ《お母さん》が、私の世界でRedmineを立ち上げたとしたら。どういう運用をするのかな。
 いつか、じっくり聞いてみたいな。

 気がつくと、もう夜も更けていた。

 ……続きは、明日にしようか。
 そう思い、紅子はペンとメモ帳をしまい、端末を閉じると布団を被る。すぐに紅子は眠りに落ちていった。

 静かな夜。
 しかし、敵の脅威はすぐそこまで迫ってきていた。