あれから 〜Redmineで始める異世界人心掌握術 後日譚〜

 カウントダウンジャパンをご覧の皆様、こんばんは。|藤倉紅子《ふじくらこうこ》です。
 なーんて。ちょっとしたボケから始めてみたんですけど。どうですか。あ、フィードバックですか。レビュー不合格ですか。

 冗談はそれくらいにして。私、まあ平凡な美人SEなんですけど、ひとつだけ人と違うところがあって。
 実は私、異世界でプロジェクトマネジメントしてたことがあるんですよ。魔族の。
 ……実をいうと、その頃のことはあんまり覚えてないんですけどね。なので、事実かと言われると自信ないんですけど……でも、今この世界で仕事してる時に、いいアイディアが思いついたりするんです。きっとそれって、その頃の経験が生きてるんだろうなって。……ちょっと、変なヒトだとか言わないでくださいよ。

 あ、そうそう。その話を同僚にしたらたいそう面白がって、その話を元に小説を書いて、Amazon Kindleストアで公開したらしくて。たしか、

『Redmineで始める異世界人心掌握術』

 っていうタイトルで。しかも、99円というお手頃価格らしくて。今度読んでみなきゃな、なんて思ってるんですけど。

 それはさておきですね。私、異世界にいた頃の知識と経験を生かして、自分の職場でもRedmineを導入してみたんですよ。
 私が今働いている職場では、システムの運用保守をやってるんですけどね。ITIL V3でいうところの『サービスオペレーション』の部分。サービスデスクとかインシデント管理とか。で、全部エクセルで管理してたんですけど、これはさすがに良くないと。もっとちゃんとしたツールで管理しないと。で、本屋で探してたらRedmineの参考書を見つけて、それを手に取ったら何故か異世界にいて……だからホントですって。  えーと、元々は、ソフト開発の現場で使うことを想定してるツールなんでしょうけど。Redmineって。でも、システム運用保守の現場でも有益なツールだと思うんですよ。課題あるところにRedmineあり、ですよね。うん。

 でもねー。一気に切り替えるのはすっごく大変でしたよ。Redmineと今までのやり方をつなぐような仕組みも必要で。  一番大きかった問題は、エクセル帳票なんですよね。今までやり取りに使ってたエクセル帳票も、Redmineが浸透するまでは並行して使わなきゃならない。
 で、さっきの小説書いた同僚に相談したんですけど。そいつ、JavaScriptが得意でね、node.jsとかいうので作ってくれたんですよ。チケットの内容を従来のエクセル帳票にエクスポートしたり、エクセル帳票からインポートしてチケットを更新する仕組み。こりゃ便利。
 これも、RedmineがちゃんとしたAPIを持ってるからできることなんだよね。Rubyが書けなくても、自分の得意な言語で機能追加ができる。これって素晴らしいことだよね。

 あとは、ダッシュボード。やっぱり見える化って大事です。
 今日、サービスデスクにどんな問い合わせがあったのか。どんなインシデントが発生したのか。それらのステータスが今どうなってて、今誰が担当してるのか。こういう情報を、常に事務所の大型ディスプレイに表示しておくだけでもう全然違う。すごいアピールになる。詳しいことはRedmine見てね、っていう導線になるし。とにかく、Redmineに情報が蓄積されてることをまず知ってもらわないとね。
 で、今はね、そういうダッシュボード用のテンプレートみたいなのがたくさん公開されてるんですね。知らなかったんですけど。その中で『CoreUI』ってのが綺麗で気に入ったんでこれでオーダーしたら、これまた頑張って作ってくれて。助かるわー。

 私の職場では、こういう取り組みをやってみました。参考になったら嬉しいです。

 実はね。否定的な意見も多かったんです。最初は。
 そりゃそうだよね。自分のよく知らないものが職場に導入されるのって、警戒するし。面倒くさそう、って思っちゃうし。  でも、始めてみないと何も変わらない。小さなことから少しずつ変えていって、最終的に喜んでもらえればいい。そんな覚悟でチャレンジすれば、賛同してくれる人も現れるんです。
 人は、もっとわかりあえる。そう信じてます。なんせ、異世界の魔族とだってわかりあえたんだから。

 その甲斐あって、最近じゃだいぶ浸透してきたんですよ。Redmineでこういうこと出来ないか? なんて質問されたりして。すました顔して答えてるけど、心の中じゃガッツポーズですよ、もう。来い来い、Redmineの世界にやって来い! って感じですよ。
 もっともっと広まってくれたらいいな、って思ってます。それにはまず、自分がRedmineを理解して楽しまなきゃね。

 というわけで。
 ……藤倉紅子。職業、SE。
 異世界で学んだ経験を生かして、Redmine使って、よりよい仕事をするために毎日頑張ってます。
 それでは、またいつかどこかでお会いしましょう!